リフォーム工事後は増改築工事証明書発行がメリットになる理由と優遇措置

リフォーム工事後は増改築工事証明書発行がメリットになる理由と優遇措置
その他
突然ですが、あなたは増改築工事証明書についてどこまでご存知でしょうか。
不動産についての税制優遇措置は、購入時や売却時以外にも数多く用意されており、増改築工事証明書はその税制優遇措置を受けるために必要となる書類の1つです。
また、優遇措置を受けるためには、誰かが教えてくれるわけではありません。
「あなたはリフォームを何年何月何日に施工したため税制優遇措置の対応です」と国が教えてくれるわけではないということです。
だからこそ、私たちZOOHOMEではリフォームやリノベーションに関して、中々気づくことができづらい情報を提供しています。
本記事での表題もその1つであり、一般的にはあまり知られていない「増改築工事証明書」を発行することであなたにとってのメリットを合わせてお話ししていきます。
知っていないと損する増改築工事証明書について、最後まで読んでみてください。

1:増改築工事証明書=リフォーム工事の証明書

新築住宅を建てるときに必要になるのが建築確認ですが、小規模リフォームや一部リノベーション工事には建築確認が不要となる工事があります。
建築確認不要であるという証明として増改築工事証明書が代わりに必要となる訳です。
増改築工事証明書は次の3つのシーンで必要になります。

1,小規模リフォーム
2,増改築リフォーム
3,確定申告
それぞれのシーンで増改築工事証明書が必要である背景を解説しましょう。

1−1:小規模リフォーム
建物のリフォーム工事は構造や階数によって建築確認申請の有無が分かれます。
建築確認の有無の指標となるのが、その建物が「4号建築物」かどうかになります。
4号建築物とは、
  • 「木造建築物」2階建て以下、かつ延べ床面積500㎡以下で高さ13m以下、軒の高さ9m以下の建物
  • 「非木造建築物」平屋建て、延べ床面積200㎡以下の建物
一般的に建てられている居住用住宅は4号建築物として該当されることが多く、その場合のリフォーム工事は建築確認申請は不要になるため、増改築工事証明書を用意します。

1−2:増改築リフォーム
10㎡以上の増築工事には建築確認が予め必要になります。また、建築物が防火地域、準防火地域内の建物は10㎡以下の増築工事でも建築確認対象です。
上記以外の増改築リフォームでも場合によって建築確認対象になりますが、建築確認対象外の増改築リフォームは増改築工事証明書を用意する必要があります。

1−3:確定申告
住宅購入時のみに適用されると思われがちな住宅ローン控除は、一定条件の元で控除対象となる場合があります。
他にもリフォームローン控除も同様に一定条件に該当することで控除を受けられます。
初年度のみ控除の手続きは確定申告による申請をし、翌年から企業勤めの方は年末調整によって対応することができるため、初年度のみ申告漏れを防止しなければいけません。

2:他にもある|増改築工事証明書によって控除対象となるパターン

不動産関係の取引には、このように税制優遇の対象となるパターンがいくつかあります。
一部紹介していくので、該当している場合は請負会社に相談すると良いでしょう。


2−1:住宅ローン控除とリフォームローン控除
控除の条件に満たしていれば、新築や中古物件の購入時、またリフォーム工事の際にも控除の対象になります。
住宅ローン控除は年末のローン残高の1%を所得税から控除し、10年間減税適用になります。
例えば、リフォーム工事に住宅ローンを利用していても、控除を受けられる対象に該当するのです。
2022年度の住宅ローン控除が受けられる条件は以下の通りになるので確認しておきましょう。

 ●自ら居住する住宅であること
 ●住宅ローンの返済期間が10年以上であること
 ●リフォームの工事後に床面積が50㎡以上であること
 ●リフォームの工事後、自ら居住する部分が家屋の1/2以上であること
 ●世帯合計所得が3000万円以下であること
 ●リフォーム工事完了後6ヶ月以内に居住していること

上記の条件が全て該当しており、加えてリフォーム工事内容は次に当てはまることが条件になります。
 ●リフォーム工事費用が100万円以上であること
 ●工事費用のうち、自ら居住する部分の費用が1/2以上であること

2−2:贈与税の非課税措置
住宅購入資金を親や祖父母から一定額の贈与を受けた場合、一定金額が贈与税非課税になります。
資金を受けてのリフォーム工事も一部控除対象となるため、その工事内容を紹介しましょう。

 ●増改築や大規模修繕、大規模の模様替え
 ●耐震リフォーム工事
 ●バリアフリー工事
 ●省エネ工事
 ●給排水管や雨水防止の工事 
などが該当します。

2−3:固定資産税の減額
耐震リフォーム工事、バリアフリー改修工事、省エネ工事、長期優良住宅工事を対象に一定の条件に該当した場合、固定資産税の減税対象になります。
固定資産税は毎年1月1日時点の不動産評価額を基に固定資産税額が決定し納税する地方税になります。
上記の対象工事費用額に関係なく、一定の割合で固定資産税が減税されますが、それぞれの工事の概要に該当しなければいけません。
また、固定資産税の減税を受ける場合は、工事が完了した後3ヶ月以内に市町村へ減額対象の条件に該当している旨を申告する必要があります。
 
その他、バリアフリー改修工事を対象とした所得税の減税などの制度も整えられています。
詳しくは国土交通省の公式サイトにてご確認ください。
参考:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000011.html

3:全てのリフォーム会社が増改築工事証明書を発行できる訳ではない

実は、リフォーム工事をお願いした工務店や大工さんに増改築工事証明書を発行できないと言われてしまう事例も少なからず発生しています。
2章で紹介したように、増改築工事証明書を確定申告に添付することで税制優遇措置が受けられることがあるため、工事を依頼したリフォーム会社から増改築工事証明書を発行できないと言われてしまうと途方に暮れてしまいますよね。
3章では増改築工事証明書を発行できない際の対処法を解説しましょう。
表題の通り、どこの会社でも増改築工事証明書を発行できる訳ではなく、条件として、依頼した会社が都道府県に建築設計事務所として登録をしていることで発行することができます。
要するに、工務店やリフォーム会社でも建築設計事務所として登録をしていないと発行することができません。
リフォーム工事にかかる費用は大きな金額になるため、受けられる控除は利用したいものです。
リフォーム工事を依頼する会社にて発行できることが最もベストですが、リフォーム工事でローン控除対象となったり、工事内容によって固定資産税や贈与税などが減税や非課税の対象になる制度を事前に把握しているお客様は多くはありません。
請負契約後に制度を知り、また、請負会社にて発行できない場合、控除を受けることを諦めるしかないのでしょうか。
方法としては、増改築工事証明書のみを発行することができる第3の機関に依頼することで解決できます。

 ●第3の指定検査機関
 ●国土交通省による認定を受けている登録住宅性能評価機関
 ●国土交通省より指定された住宅瑕疵担保責任保険法人
ただし、発行依頼する際には必要書類を添付することが求められるため、実際に工事請負会社に添付書類の協力を求めなければいけません。

4:増改築工事証明書発行時の必要書類

工事請負会社によって発行できない場合は、3章で紹介した各機関にて増改築工事証明書の発行手続きが可能です。
4章では手続きの際に必要な書類を紹介します。

1,住民票の写し
2,登記事項証明書の写し(土地の場合は不可)
3,工事請負契約書の写し
4,工事前と工事後の図面の写し、もしくは、工事前と工事後の写真
   ※図面提出の場合でも工事後の写真は必ず用意
5,工事費内訳明細書
   ※見積書、もしくは、請求書の写し
6,補助金等の給付を受けている場合は証明する書類の写し

どの機関も1〜6の書類を共通書類として用意することを求めますが、機関や工事内容によって追加書類が必要となる場合もあります。

5:増改築工事証明書発行時の費用

リフォームを請け負った会社が増改築工事証明書を発行できる場合は、無料〜数千円にて処理するケースがほとんどですが、発行を外部に依頼する場合は有料となることを想定しておくべきです。
費用はかなり開きがあり、2万円前後から6万円で各機関費用を提示しています。
必要書類の内、1つでも書類不備や用意ができないとなると、依頼した第3の機関によって現地調査によって不備書類を作成しなければいけません。
その場合、現地調査の実質的な費用を見込まなければならず、追加費用が上乗せされます。
各機関、公式サイトにて現地調査の費用を表記しているので、追加費用が発生する場合も見込みつつ予め確認しておくと良いでしょう。




≪ まとめ ≫
リフォームやリノベーション工事に税制優遇が対象となると予め周知している方は少ないため、いざ住宅ローン減税の手続きをしようと工事請負会社に相談しても、増改築工事証明書が発行できないと言われてしまう可能性もゼロではありません。
制度を予め認知しているか認知していないかによって、後々の手続きにも影響が出る可能性もあるのです。
工事を依頼するリフォーム会社によっては、丁寧に税制優遇などの制度を説明してくれる場合もありますが、全てのリフォーム会社がそうとも限りません。
大切なのは、ご自身でいかに事前に調べておくかです。
工事にかかる費用や工事内容によって、優遇措置の適用幅が大きく、せっかく適用対象にも関わらず受けられないとなると損することにも繋がります。
まずはあなたがこれから進めるリフォーム工事が優遇措置の適用対象になるかを下調べすることから始めてはいかがでしょうか。

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